2017年4月1日より都市ガスサービスが自由化となりました。
プロパンガスと同様にライフラインのガスサービスとして国内に普及していますが、都市ガスが自由化されたことは、プロパンガス業界にも無関係ではありません。
今まで都市ガスの業界では、導管を整備する工事費用などの重要性を鑑みて、導管の工事を行った企業に独占供給権が認められていました。つまり、1つの地域に1社のみが小売りすることを許可されていました。顧客としては、都市ガスを買う企業を選ぶことができないという状況が長く続いていました。
市場の活性化を目的に自由化されたことにより、他の企業が小売りを行うことができるようになり、顧客の立場としてもガスを買う企業を選ぶことができるようになりました。
これは画期的なことであり、今後競争が生まれることが見込まれますので、顧客にとっては、ガス代をお得にする機会ができることになります。
ただ、4月1日時点では、新たに参入する企業が少ないこともあり、そこまで大きなニュースにはなっていません。
とは言え、この「都市ガスの自由化」はプロパンガス業界にも少なからず影響を与えることが予想されています。
都市ガスの提供エリアの拡大
現時点では都市ガス事業に参入する企業は数えるほどという現状ですが、今後は最低でも数十社が参入することが見込まれています。
都市ガス業界に競争が生まれることにより、更に提供エリアが広がることが考えられます。
2013年3月時点でのデータでは、日本全国での都市ガスの普及率は全体の53%、プロパンガスは44%となっています。
自由化される前の時点でも、都市ガスエリアが広がり、プロパンガスの利用者は減少する傾向にありましたが、今後は更にその動きが加速していくでしょう。
都市ガスとプロパンガスを比較した場合、料金の安さをはじめ、顧客としては都市ガスの方に大きなメリットがあります。
都市ガスの提供エリアが拡大すれば、プロパンガスから都市ガスに乗り換える方が多くなることは必然だと考えられます。
プロパンガスの販売業者としては、顧客が減少していくことが予想されています。
プロパンガス企業が都市ガス事業へ参入
上記のような要因もあり、今回の自由化を契機にプロパンガスの販売企業が、都市ガス事業に参入することを表明しています。
もちろん全ての企業ではありませんが、代表的な例ではプロパンガス業界1位の日本瓦斯(通称:ニチガス)が既に都市ガスの販売を開始しています。
プロパンガスの利用者が減少する傾向にあり、ガスに関するノウハウを持ち、ガスに詳しい従業員や営業所も既にあると考えると、参入するのは必然と考えられます。
料金の低価格化?
都市ガスの自由化の影響により、プロパンガス価格の下落を考えている専門家もいます。
これはあくまでも推測の域を出ませんが、上記のように都市ガス事業に参入したプロパンガス企業の収益次第では、プロパンガスの価格に影響があると考えられています。
また、都市ガスに顧客を奪われたくないというプロパンガス業者が、顧客に提供する価格帯を下げることも考えられます。
希望的観測も含めて、もしそのようになればユーザーとしては有りがたい話ですね。
同じガスサービスである都市ガス市場が活性化することにより、プロパンガス市場にも少なからず影響があることは間違いないでしょう。プロパンガスユーザーの方も、ぜひ都市ガス業界の動向に注目してみてください。