経済産業省の審議会は12月14日、政府がまとめる「GX10年ロードマップ」最終案を了承しました。

※GX=グリーントランスフォーメーション

18分野の規制・支援一体型の投資促進策を提示。e-methane(e-メタン)については、カーボンリサイクル(CR)燃料の一つとして道行きを示し、製造技術開発、製造設備などへの官民の投資2兆円を呼び込むとしました。GX経済移行債とカーボンプライシング(CP=炭素価格付け)の制度案も了承しました。

政府が提示する2050年カーボンニュートラルは、膨大な金額の投資を集めなければ実現が難しい状況です。

GX10年ロードマップは、カーボンニュートラル実現に向けて、今後10年間で約150兆円必要とされる官民での投資を実現するための具体的施策を示すものです。

  • 成長志向型CP構想・GXリーグの段階的発展・活用
  • エネルギー安定供給確保
  • 規制・支援一体型投資促進策

が柱となっており、14日の産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会「クリーンエネルギー戦略検討合同会合」で了承を得ました。今週中に最終決定される見通し。

「e-メタン」とはグリーン水素やグリーンアンモニアなど非化石燃料を原料として製造された「合成メタン」を総称した名前です。カーボンニュートラル実現を目指し、化石燃料である天然ガスからe-メタンへ転換する動きが世界的に進められています。

つまり将来的には、都市ガスの原料が天然ガスからe-メタンに変わっていくということです。

最終案によると、e-メタンについては、SAF(持続可能な航空燃料)、自動車・船舶用の液体燃料を指す「合成燃料」とともに、CR燃料に位置付けられています。

e-メタンの普及戦略としては、供給側の新たなインフラ整備や需要側対応が不要である利点を生かし、早期に大規模生産技術確立と二酸化炭素排出にかかるルール整備、大規模投資による大量生産・供給を実現するとしています。これにより2030年にガス販売量の約1%の国内導入を開始し、50年に90%導入、価格もLNGと同水準にすることを目標にします。

道行きでは「投資水準」について、海外からの輸入、国内での生産を含め官民で約2兆円との見通しを示しました。

普及に向けた「規制・制度」については、e-メタン利用に必要な認証制度や環境価値移転などの仕組みの検討・整備、支援のあり方を検討します。

「国際戦略」としては、当面は輸入プロジェクト候補国(第1期)との二酸化炭素排出の取り扱いに関するルール整備の調整を行います。また並行してアジアなどの天然ガス燃料転換などを推進することを前提に、将来海外でも天然ガスからe-メタンへの転換を進めることも明記します。

e-メタンについては、化学産業、セメント産業、紙パルプ産業の3分野の道行きでも登場します。全て石炭火力自家発電所などの燃料転換に関するもので、当面はガスとバイオマス、2030年ごろから水素・アンモニア・e-メタンなどへの転換を目指します。

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