カーボンニュートラルを目指す社会に呼応して、LPガス業界では、カーボンニュートラルLPガス(CNLPG)、カーボンオフセットLPガス(COLPG)という新しいガスが誕生しました。
名称が似ていますが両者は、相殺する二酸化炭素の「範囲」が異なります。
このページでは、主にCNLPGとCOLPGの違いについて解説しています。両者は、それぞれカーボンニュートラルとカーボンオフセットの環境用語を前提としたサービスです。
CNLPGとCOLPGの相違点
カーボンニュートラルLPガスの方が実質ゼロの対象になる範囲が広いのです。
カーボンニュートラルLPガスは、採掘から使用時までのすべての二酸化炭素が実質ゼロになるので、実質的に二酸化炭素を排出しないLPガスです。
カーボンオフセットLPガスは、使用時のみの二酸化炭素が実質ゼロになるので、広い意味で捉えると完全にゼロになっている訳ではありません。
なぜCNLPGとCOLPGがあるのか
なぜ2つの種類があるのか、疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。実際に名称も似ていますし、わかりづらいと感じるかもしれません。
このように2種類の脱炭素LPガスが存在するのは、主に費用面が影響していると考えられます。
ただカーボンニュートラルLPガスを導入するのは、費用面での負担が大きくなります。
実質ゼロにする対象が採掘の段階からはじまりますので、二酸化炭素の吸収量を増やすカーボンクレジットを購入する費用も比例して高くなります。
カーボンニュートラルLPガスを導入するのは、ガス会社側にとって費用面での負担が大きいという事情があります。また導入する費用が高くなれば、当然ながら顧客のガス料金も高く設定せざるを得ないのです。
それに比べるとカーボンオフセットLPガスの方が費用面での負担が少なく、導入しやすいという企業側のメリットがあります。
プロパンガス自体の「質」は同じ
このウェブサイトでも解説していますが、LPガスは商品が同じものです。
顧客としては、使用するガスがCNLPGでもCOLPGでも、普通のLPガスでも使い勝手は同じなのです。
顧客への小売価格を値上げすれば、他社に切り替えられてしまう可能性が高くなってしまうのです。
COLPGは費用負担が少ないとはいえ、新規の顧客に適用するような料金体系で供給するのは難しいでしょう。
「カーボンニュートラルを目指すために多少料金が高いのは仕方がない」とCNLPGやCOLPGの使用に理解を示している顧客でなければ、ガス会社としては導入が難しいという事情があるのです。
現状では、CNLPGやCOLPGを導入しているプロパンガス事業者は、主に法人の顧客に向けて供給しています。つまり環境問題に取り組む姿勢に理解を示している業務用顧客に対して販売しているのです。
プロパンガス業界は料金競争が激しいため、CNLPGやCOLPGが一般家庭にまで供給されるには、もう少し年月がかかるかもしれません。
この記事は、私が作成しました。
静岡県出身。エネルギー業界に10年以上携わり、特にプロパンガスや都市ガス、電力を専門にしています。またウェブサイトや記事も自身で作成します。ご意見や感想、指摘などありましたら、気軽にお寄せください。⇒著者情報