プロパンガスか都市ガスは選べるのか?
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日本国内で主に普及しているプロパンガスと都市ガスですが、どちらか好きな方を選ぶことができるのでしょうか?

このページでは、ガスの種類を選ぶことができるかどうか、ガスサービスに馴染みがない方に向けて解説しています。

これから引越しする方や現在のお住まいで切り替えを検討している方はご参照ください。

プロパンガスと都市ガスは好きな方を選べるのか?

プロパンガスか都市ガスかを選べるか

プロパンガスと都市ガスは、同じガスサービスであるものの供給方式が全く異なります。

好きな方を選択できるのかどうか、結論から先に記載します。

賃貸住宅は選べない

賃貸住宅では、プロパンガスか都市ガス、好きな方を選ぶことはできません。

賃貸住宅は、オーナーの持ち物である家を借りている状態です。基本的にオーナーが指定したエネルギーを使用するしか選択肢がありません。

借主はエネルギーを選べない
プロパンガスと都市ガスでは、使用するガス機器やガス管など物理的な構造が異なります。
借主の意思で好きな方を選ぶということは、原則としてできません。
賃貸住宅では、戸建か集合住宅問わず、エネルギーを変える場合には、オーナーの判断が必要になるのが通常です。
参照:都市ガスとプロパンガスの機器

例えば「プロパンガスの物件を都市ガスに変更したい」などエネルギーの変更を希望する方は、建物のオーナーや管理会社に問い合わせましょう。

「ガス会社」を選べるかどうか

補足ですが、プロパンガス・都市ガスそれぞれの賃貸物件で「ガス会社を選ぶことができるか」についても記載します。

賃貸物件のガス会社選び
  • プロパンガス供給の集合住宅では、物理的な問題から建物でガス会社が決まっています。ガス会社を選ぶことはできません。参照:集合住宅のプロパンガス
  • プロパンガス供給の戸建住宅では、オーナーの許諾があればガス会社を選ぶことができます。参照:賃貸戸建住宅のプロパンガス
  • 都市ガス供給の建物は「戸建・集合住宅」「持ち家・賃貸」問わず、参入しているガス会社があれば選ぶことができます。参照(外部サイト):都市ガス料金比較サイト

戸建て持ち家は選べる

「持ち家の戸建住宅」では、プロパンガスか都市ガスかを自身の意思で選ぶことができます。

ただしそれは、都市ガスの導管が建物に引き込むことができる場所まで敷設されていることが条件です。

都市ガスの供給エリアに入っているかどうか知りたい方は、その地域の一般ガス導管事業者へ問い合わせましょう。一般ガス導管事業者が不明な方は、日本ガス協会が情報を公開しています。

集合住宅持ち家は選べない

「持ち家の集合住宅」では、プロパンガスか都市ガス好きな方を選ぶことができません。

集合住宅では、エネルギーの種類を選ぶのは建物全体の問題になります。

分譲の集合住宅でしたら、管理組合の議題にあげるなど建物全体の意思決定が必要になります。

また戸建住宅と同じように、都市ガスを引き込むのであれば、引き込み可能な場所まで導管が届いていることが条件となります。

都市ガスの供給方法

都市ガスは地下のガス管から供給される

都市ガスは、事業者の基地から地下を通るガス管を経由して供給されます。

都市ガスを使用するためには、「地下を通るガス管」が建物内に引き込まれていることが必須の条件です。

都市ガスが使える地域は限られている
ガス管網を拡大するには、工事を行う事業者に莫大な費用が必要となります。そのため都市ガスは、日本全国で使用できるサービスではありません。
現在の日本で都市ガスが利用できるのは5%程度の面積に留まっています。

都市ガスの引き込みは有料

都市ガスを新規で引き込むのは費用がかかる
都市ガスを新規で引き込むのは費用がかかる

都市ガスは、供給区域が限られている上、物件にガス管を引き込んでいなければ使用することはできません。

都市ガスの新規引込は有料
現状で都市ガスを引き込んでいない建物で使うには、引き込みの工事費用が発生します。この費用は物件の所有者が負担することになります。
金額は工事内容や一般ガス導管事業者によっても異なりますが、安くても5~10万円程度、高ければ数十万円かかることもあります。

また仮にプロパンガス供給の物件に都市ガスを引き込む際、建物内のガス管と宅内のガス機器を交換しなければなりません。

初期費用の問題で都市ガスを引き込まない建物も多い
このような初期費用がネックになり、都市ガスの引き込みを見送り、プロパンガスのまま使用し続けているお宅は多くあります。
さらに集合住宅の場合には、初期費用の金額が戸建住宅よりも大きくなり、物件オーナーはこれを負担しなければなりません。

都市ガスが供給されている地域の建物であっても、プロパンガス供給の物件があったりするのは、このような事情があるからなのです。

プロパンガスの供給方法

プロパンガスはボンベから供給される

一方のプロパンガスは、ボンベから供給されるサービスです。

ボンベの配送さえすることができれば、日本全国どこででも使用することができます。

プロパンガスが好まれる理由
プロパンガスは、都市ガスとは異なり公共サービスではありません。そのため「初期費用を免除する」ような個別の割引サービスを提供することができます。
物件の所有者にとっては、導入する際のコストを抑えることができる利点があるのです。

特に集合物件のオーナー様の中には、プロパンガスを好む方も多くいらっしゃいます。

プロパンガスと都市ガスの料金差額

プロパンガスと都市ガスについて、多くの方はガス料金を気にされているかと思います。

一般的には都市ガス料金の方が安いのですが、環境によっても異なります。

両者の料金について、詳しくは「プロパンガスと都市ガス料金を比較」のページで解説しています。

都市ガスとプロパンガスの選択Q&A

賃貸の集合住宅では、都市ガスかプロパンガスかを選べますか?

集合住宅では、建物でガスの種類が決められているので、入居者が選択できるものではありません。またプロパンガス供給の集合住宅の場合、ガス会社も建物で決まっているので選ぶことはできません。参照:集合住宅のプロパンガス

持ち家の集合住宅では、都市ガスかプロパンガスかを選べますか?

集合住宅では、建物でガスの種類が決められているので、持ち家であっても入居者が選ぶことはできません。「プロパンガスから都市ガスに変更したい」場合には、建物全体の問題になるので管理組合などに相談しましょう。尚、分譲マンションの場合、プロパンガスを安く利用できる可能性もあります。参照:分譲マンションのプロパンガス

賃貸の戸建住宅の場合、都市ガスかプロパンガスかを選べますか?

一般的には、借主の意思でガスの種類を変えることはできないでしょう。都市ガスを新たに引き込む際には、有償工事が必要です。費用を借主が負担するのであれば、可能かもしれません。どちらにしてもオーナーや管理会社に相談するのが良いでしょう。

持ち家の戸建住宅の場合、都市ガスかプロパンガスかを選べますか?

都市ガスの導管が引き込みできる位置まで届いているのであれば、選ぶことができます。都市ガスの引き込み工事は有償です。引き込み工事見積もりは、お住まいの地域の一般ガス導管事業者へ依頼しましょう。

都市ガスとプロパンガスの供給方法はどのように違うのですか?

都市ガスは地中の導管から供給されるので、整備されている地域でなければ使用することはできません。一方でプロパンガスは、ボンベから供給されるので、地域に関係なく使用することができます。

プロパンガス料金は都市ガスよりも高いのですか?

地域やお住まいになる建物により異なりますが、一般的には都市ガスの方が安いことが多いでしょう。ただ戸建住宅や大型集合住宅では、プロパンガスを安く利用できるので差額が少ない、都市ガスよりも安いこともあります。参照:都市ガスとプロパンガス料金を比較

プロパンガス料金を安くすることはできますか?

戸建住宅であれば、ガス会社を切り替えることで料金を抑えられる可能性があります。当社では、プロパンガスの切り替え相談や戸建住宅に引越す方の開栓予約を承っています。⇒問い合わせ

著者:土勢育孝

この記事は、私が作成しました。

静岡県出身。エネルギー業界に10年以上携わり、特にプロパンガスや都市ガス、電力を専門にしています。またウェブサイトや記事も自身で作成します。ご意見や感想、指摘などありましたら、気軽にお寄せください。⇒著者情報

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