石油情報センターのLPガス平均価格とは?

このページでは、一般財団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センターが発信しているLPガス平均価格について解説します。

エネ研・石油情報センターは、プロパンガスだけでなく、ガソリンや灯油・軽油など石油関連のサービスの価格を調査・公表している機関。一般財団法人日本エネルギー経済研究所の内部組織です。

LPガス平均価格とは

石油情報センターは、LPガスに関する速報値を毎月、確報値を偶数月に公開しています。

「各地方・都道府県・都道府県内の各地域」に分け、それぞれのLPガス小売価格を発信しています。
料金の内容としては、基本料金と5㎥・10㎥・20㎥・50㎥使用時の請求額です。

プロパンガスは公共サービスではないので、中立な立場からの料金に関する情報がほとんどありません。

そのような中で石油情報センターが公表しているLPガス平均価格は大変重宝されており、このウェブサイトでも多くのページで掲載させていただいています。同時に業界全体でも多くの企業で目安とされている情報なのです。

価格をどのように調べているのか?

LPガス平均価格はどのように調べているのか?
価格の調査方法について、石油情報センターのHPには、
「LPガス小売業者を対象として、家庭用LPガスの価格を隔月(偶数月)に小売価格を調査・公表。」
と記載があります。

ポイントは「LPガス小売業者を対象として」という部分です。

公表されている平均価格は、ガス会社に対して調査したものであり、消費者に対するものではありません。

すべてのガス会社が調査対象ではない
調査対象となるガス会社の数については公表されていません。
プロパンガスの小売事業者は、全国で1万社以上ありますので、すべての事業者に対して調査したものではないことは間違いないでしょう。
恐らくは、各地域である程度決まったガス会社に対して毎回調査していると推測できます。

もう一つのポイントとしては、戸建住宅と集合住宅の区別がなされていない点です。

集合よりも戸建の方が料金が安い
通常プロパンガスの料金は、戸建住宅よりも集合住宅の方が高く設定される傾向にあります。この平均価格は、戸建と集合混合の価格であることにも注目です。

平均価格は正確なのか?

実際に公表されている平均価格は、どこまで信頼性のある情報なのでしょうか。

前提としてプロパンガス料金は、自由料金制です。

正確な情報を調べるのが難しいサービス
プロパンガスは、同じガス会社の顧客であっても、各お宅で料金が異なる可能性があるサービスなのです。
従って、例えどのような調べ方をしたとしても、100%正確な料金を調べるのは実質的に不可能と考えられます。

石油情報センターが発信している平均価格は、ガス会社を調査対象としていますので「どこまで正確な情報を返答しているか」という問題があります。

事業者としては、正確な金額を答えなければならない義務はありません。

ただ調査対象のガス会社名は公表されていませんので、実際の金額とかけ離れた金額を返答しているとは考えづらいでしょう。ある程度正しい金額を回答していると推測されます。

従って石油情報センターが発信している数値は、「100%正確ではないが、目安となり得る金額」であることは間違いありません。

平均料金が安い訳ではない

プロパンガス平均価格は最安値料金ではない

プロパンガスは、各お宅によって料金設定が異なるサービスです。

都市ガスのように、すべての顧客に対して統一の料金プランが適用されているのではありません。

かつて情報が少なかった時代から、プロパンガス料金は高めに設定される傾向にありました。

消費者が「プロパンガス料金は各戸で異なる」「適正な従量単価」などの情報を得ることが難しかったため、事業者の言い値で支払い続けるような状況が続いていたのです。

プロパンガスの特徴
消費者側が
  • プロパンガス料金は自由料金制
  • プロパンガス会社を変更することができる
  • 変更することでガス代を安くすることができる
などの事実を知らなかったため、事業者側が優位に立っていたといえるでしょう。

その流れは、現在でも少なからず続いています。プロパンガス事業者は、基本的なスタンスとして高めの料金で提案する傾向があり、すべての顧客に対して実現可能なぎりぎりの安値で提供しているのではありません。

そのような行為が、結果的に平均価格を引き上げているのです。

平均価格が安いとは限らない
つまりプロパンガスの平均価格が、必ずしも「適正な料金設定」とは限らないのです。平均近くに設定されているお宅でも、安くする余地が存在することは多々あります。

平均価格を参考にすべきか

プロパンガスは、環境によって「ガス会社を選べるかどうか」が変わります。

環境によってはガス会社を選べない
例えば集合住宅では、物理的な理由で一部屋ずつ違うガス会社を選択することができず、建物で決まっている事業者と契約するしか術がありません。参照:集合住宅のプロパンガス

また賃貸の戸建住宅では、ガス会社が指定されていることがあるほか、戸建て持ち家であってもガス会社の競合が少ない地域では、切り替えることが難しいケースもあります。参照:賃貸戸建住宅のプロパンガス

このようにガス会社を変更することが難しい方にとっては、平均価格というのは、目安として良い金額であると考えられます。

お住まいで設定されているガス料金が平均よりも高かった場合には、「なにか高い理由があるのか?」ということを問い合わせするなど対処しても良いでしょう。

一方で持ち家の戸建住宅にお住まいで、ガス会社を選ぶことができる地域にお住まいの方の場合、平均価格よりも安くすることが可能です。

上述したように平均価格は、事業者がある程度余裕を持った設定をしている金額ですので、「平均価格=適正価格」とは言えないのです。

平均価格と標準料金
戸建住宅にお住まいの方は、ご自宅の料金設定が平均価格と同じくらいだったとしても、さらに安くできる可能性があると考えられるでしょう。
平均価格の捉え方としては、各LPガス事業者のホームページに掲載されている標準料金と共通している点が多々あります。参照:標準料金の解説

お住まいの環境によって十分に参考にできる情報なのですが、安くする余地がある金額ということをご理解いただければと思います。

平均価格は、状況に応じて参照するかどうかをご判断ください。

著者:土勢育孝

この記事は、私が作成しました。

静岡県出身。エネルギー業界に10年以上携わり、特にプロパンガスや都市ガス、電力を専門にしています。またウェブサイトや記事も自身で作成します。ご意見や感想、指摘などありましたら、気軽にお寄せください。⇒著者情報

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