経済産業省は、11月にLPガスの倉敷備蓄基地で海外からLPガスを受入れたことにより、国家備蓄目標量「50日分程度・約140万トン」を達成したと発表しました。
LPガスは、ボンベから供給されるという特徴を持っていることから、高い汎用性を持ったサービスです。導管から供給される都市ガスでは、一部で不具合が起こった時に、広域で供給が止まってしまうという弱点があります。一方でLPガスの場合、ボンベから供給、つまり各戸が独立して供給されることから、そのような弱点がないことが強みです。
そのためLPガスは、震災などの災害時に必ず利用されるエネルギーとなっており、国によって「エネルギーの最後の砦」という位置づけに指定されています。
国家備蓄とは、そのような緊急時に備えてLPガスを国が保管しているものです。国家備蓄設備は、現状で国内に5か所建てられています。
・茨城県神栖市の神栖基地
・石川県七尾市の七尾基地
・岡山県倉敷市の倉敷基地
・愛媛県今治市の波方基地
・長崎県松浦市の福島基地
LPガスの国家備蓄制度は、かつてオイルショックで国内が大きなダメージを受けたことがきっかけとなり、1992年からはじめられたもので、当時輸入量の40日分相当である150万トンの国家備蓄目標を決定しました。今回の達成はおよそ25年の歳月を経てようやく目標量に到達したものです。
また、LPガスの備蓄については、近年LPガスの需要が減少していることから、この国家備蓄目標をこれまでの数量ベース(約150万トン)から日数ベース(50日分:約140万トン)に変更されています。
国家ではなく、民間企業に備蓄を義務付ける民間備蓄についても、輸入量の50日分から40日分に、下方で見直しが行われています。