資源エネルギー庁は、昨年2月に制定した「液化石油ガスの小売営業における取引適正化指針」を、2月22日付で改訂しました。
昨年2月以降、4月には都市ガス小売事業が全面自由化され、ガス業界のみならずエネルギー業界は競争が激化する傾向にあります。都市ガスやオール電化など、住宅のエネルギーが多様化し、ガス事業者が電力サービスへ、電力事業者がガスサービスへ参入するなど業界の垣根がなくなるなか、LPガスが消費者から選ばれるエネルギーとなるために更なる見直しを図ることになりました。

今回の改訂の要点は主に次の3点が挙げられます。

第一点目として、戸建て住宅と集合住宅で標準的な料金メニューが異なる場合には、それぞれの標準的な料金メニューを公表する必要があるとしています。一年前に制定された指針では、戸建て住宅か重合住宅かという区別はなく、一つの「代表的な料金メニュー」を公表するのみとされていました。
多くのガス会社では、戸建て住宅と集合住宅で異なる料金を設定しています。一般的な戸建て住宅では各企業最安値に近い金額が実現できる一方、集合住宅においては給湯器などの設備投資がサービスの一環として含まれることもあり、料金が高額になるケースが増えています。料金も物件によって大きな差異があることも多いため、目安となる金額を公表することを義務付けた形となります。

次に、戸建て住宅と集合住宅で従量料金が異なる際に、消費者などからの照会に対して適切に回答する必要があるとしています。例えば集合住宅の場合、上述したように「入居者のガス料金」に対して、「オーナーに対する給湯器などの設備投資額」が含まれているケースが多くあります。従来であれば、入居者からのガス料金に関する問い合わせがあったとしても、明確に「給湯器の無償提供を行っているから、従量料金が〇〇円加算されている」などという回答を得ることは難しい状況でした。
消費者が「なぜ料金が高いのかがわからない」という状況は、「プロパンガス料金は不透明である」というイメージに結びついており、結果的に消費者の「プロパンガス離れ」を加速させてしまう要因ともなっていました。今回の改訂により、料金設定の根拠をできる限りわかりやすくするべきであるということでしょう。

最後に、消費者からの苦情や問い合わせへの処理状況を適切に管理する必要があるため、記録簿の保存は最低でも1年間であると明示しています。

上記3つの要点のうち、最も重要であるのは2点目の「料金に関する消費者への明確な回答」であると考えられます。
プロパンガスの最も大きな問題点は、「料金の高さ」よりも「料金決定の根拠が不透明である」ということであると言えるでしょう。つまり「料金が決定される根拠がわかりづらい」のです。または「根拠が統一されていないので、公表することができない」とも考えられます。
実際に多くのプロパンガス企業では、ホームページ上で代表的な料金メニューは公表されるようになりましたが、実際にはその金額よりも大幅に安く設定された顧客と、高く設定された顧客が未だ存在しています。その「安く設定するか高く設定するか」の根拠が明確でないため、消費者としては料金に関して安心することができない状況であると言えるでしょう。

今回の改訂により消費者にとっては、少なからず好影響があると考えられます。今後さらに行政の指導が進められることによって、プロパンガス料金も明快になっていくことが期待されます。

当社のプロパンガス料金表