資源エネルギー庁は12月5日、総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会の石油・天然ガス小委員会を開催し、経済安全保障推進法に基づく「戦略的余剰LNG」の確保について提案、了承されました。

長期間の備蓄が困難であるLNGの特性を踏まえ、平時から国全体で戦略的にLNGの余剰を「流通在庫」として確保することを決めました。

運用開始については、2023年12月を目指します。

政府は、5月に成立・甲府された経済安全保障推進法に基づき、年内をめどにLNGなど11品目を「特定重要物資」に指定する見通し。これを受けて経済産業省は、LNGの安定供給確保を図るための取り組み方針の策定を進めています。その中心となるのが戦略的余剰LNGの確保です。

LNGの「供給確保計画」を作成して国の認定を受けた民間の「認定供給確保事業者」が、平時から戦略的余剰LNGを流通在庫として運用することになります。

確保されたLNGは、急激な需給ひっ迫など、経済産業省がエネルギー安定供給の観点から必要と認めるときは、認定供給確保事業者が同省の指定する国内事業者へ販売することで、当該事業者が需給ひっ迫に対応する時間的猶予を確保するという流れ。

経済産業省の指示がない平時は、認定供給確保事業者が運用する戦略的余剰LNGは、最終的に国内事業者や海外市場に転売されることになります。転売で損失が発生した場合は、エネルギー・金属鉱物資源機構に設置する基金からの助成金で補填するという仕組み。逆に転売で利益がでた場合には、基金に利益を返還させます。

LNGは、タンク内で気化するため長期間保存することが難しいという特徴があります。対照的にLPG(プロパンガス)は、液化しやすいという特徴があり保存に適しているガスです。タンク内に貯蔵されているLPGは、酸化することがないため半永久的に保存することができるのです。

保存に適したLPGは、最後の砦として国内各地で保存されています。今回は、LNGに関しても有事の際に確保しておきましょうという取り決めがなされました。保存に適していないLNGの確保をすると決めたということで、政府が有事に警戒していることがわかります。

認定供給確保事業者は、これから公募されることになります。

要件としては、

  • 年間輸入量または販売量360万トン以上
  • 異なる5ヵ国以上を主たる供給源とするターム契約を合計5本以上保有
  • 自社でコントロールできるLNG船を全体で10隻以上または戦略的余剰LNG用に3隻以上保有
  • 年80万トン以上の自社権益LNGを保有
  • 1地点以上のLNG受入基地または基地利用券を保有

などが求められています。

求められる要件が多く、クリアできる企業は限られるでしょう。

石油・天然ガス小委員会では、複数の委員が認定供給確保事業者となる民間事業者のインセンティブ不足を課題に挙げています。

現状では、日本国内のLNG需要は減少傾向にある上、カーボンニュートラルの動きが活発化しているため、LNGを含む化石燃料に頼らないエネルギー開発が進んでいます。

企業がLNGを長期間確保することは一定のリスクになる上、売却益がでたとしても返還しなければならないとなると、取り組む企業にとってのメリットが薄いという考えです。

一方でロシア・ウクライナ問題などの影響で、国内のLNGはいつでも需給がひっ迫する可能性を秘めています。今回の余剰LNGを確保しておくという取り組みは非常に重要になるでしょう。今後、企業のインセンティブなどについて、調整されることになると考えられます。

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