資源エネルギー庁は、今年の2月から3月にかけて実施した「LPガス料金の公表状況調査」の結果を公表しました。この調査はLPガス事業者として登録済みの18568者が対象で、その内12003者から有効回答を得ています。
調査内容は、今年に入り資源エネルギー庁が公表している、料金透明化に向けたガイドラインに基づいたものとなっています。重要項目として、その事業者の標準的なLPガス料金を企業のホームページや店頭などで公表することを求めています。標準的な料金が公表されることによって、消費者にガス会社を選ぶ際の目安を示すことが狙いです。
調査結果では、有効回答数の44.7%にあたる5362者が、既に料金を公表済みと回答しています。その内ホームページ上で公表しているのは244者、店頭での公表が5118者でした。大部分の事業者が店頭での公開をしているという状態です。
また、現状では公表していないが、今後一年間以内(来年の3月まで)に公開する予定の事業者は2956者となっています。
この数字をどのように捉えるのかは、その人によって判断が別れるかもしれません。
資源エネルギー庁から委託を受けて実際に調査を実施したエルピーガス振興センターでは、店頭とはいえ料金公表が進められていることに一定の評価をしているようです。
たしかに料金に関する情報が何もない状況から考えると、店頭だとしても料金がわかる状態になったということは、悪いことではないでしょう。ただ、インターネットが普及している時代なので、LPガスを事業者の店頭で申し込む方は少数派です。店頭で料金を示されてもあまり意味が無いのではと思う方もいるでしょう。
私個人としても、消費者の印象として「LPガスの料金がわかるようになった」状態と言うには程遠いと思っています。店頭で表示というのもそうですし、あくまで標準料金であり、それだけでその事業者が高いか安いかを判断することはできません。ただ、透明化への第一歩という意味では、前に進んでいると言えるとは考えて良いでしょう。
なぜホームページ上で公開している事業者が少ないのかという点についてですが、恐らく事業者としては「様子見」をしている段階だと考えられます。LPガスの業界では、「他社に料金を知られたくない」という思惑から、なるべく料金を公表しないという風潮があります。他社に料金を知られると、それを下回る額を提示されてしまうかもしれないということです。消費者としてはわかりにくい限りですが、これはLPガスという商品がどの事業者でも同じであり、他社と差別化しにくいものであることが要因のひとつとなっています。
すでにホームページで料金を公開している244者は、恐らく基盤がしっかりとしている大企業が中心ではないかと思われます。
LPガス業界が内部から変わっていくことを求めるのは、なかなか難しいのではないかと考えています。今回のように国が主導して、道を示してもらうことが重要です。今後の資源エネルギー庁の方針に注目しましょう。