経済産業省は2017~2021年度分のLPガス民間備蓄義務を現行の50日分から40日分に引き下げます。
民間備蓄義務とはLPガスの輸入事業者に課されているもので、なにか有事があった際の備えとして、消費者に供給することなく、備蓄つまり「取っておきなさい」という目標を指示したものです。
これまではその量が50日分(約150万トン相当)だったものが、40日分まで引き下げられることになりました。
今回引き下げられることになったのには、LPガスの需要量減少や料金の透明化に向けて動き出したことが背景にあります。
第一の理由としては、LPガスの近年の需要量は減少傾向にあり、都市ガスの需要量拡大に伴ってその差は更に拡大していくと見られています。従って「そこまで溜めておく必要がない」と判断したのでしょう。
第二の理由として、そもそもLPガス需要が減少の一途をたどっている要因として、料金の高騰や料金体系の不透明さが問題となっていました。消費者の不信感から、LPガス離れが加速してしまっているという状況です。
このような状況を打開すべく、経済産業省は各事業者に目安となる標準料金をホームページなどに公表するよう指導するなどの対策を取りはじめています。それに伴って各企業のホームページを見ると、標準料金を掲載している企業が増え始めました。
標準料金だけを公表するのではなくて、実際に適用される料金を知りたいと思われるかもしれませんが、少なくとも第一歩を踏み出したとは言えるでしょう。
今回備蓄義務量が下げられることによって、流通するLPガスの料金が少なからず安くなると考えられます。備蓄している輸入業者としては、溜めていたガスを売りに出せることになる上に、保管・管理するコストを削減することができるため、供給事業者へ卸し売りする際の価格が少なからず下げられると予測されるからです。
つまり、備蓄義務を下げて公表すべき標準料金が安くできる傾向にあれば、各企業も公表しやすくなるでしょうという狙いがあります。
ただ問題になるのは、実際にガスを使う消費者にとってどこまで影響があるかということです。備蓄義務を下げることで、LPガスの料金がどのようになるのかを消費者が気にするべきだと考えます。
業界としては少なからず良い方向に進んでいることは間違いありませんので、消費者全体がそれを監視することが大切だと思います。