総合資源エネルギー調査会石油・天然ガス小委員会は4月3日、2017から2021年度のプロパンガス需要の見通しを発表しました。
それによると、今後5年間の需要は平均0.5%と微増で推移するとしています。試算通りに推移した場合、2021年度の需要は1429.8万トンとなり、2015年度の1406.1万トンよりも増加することになります。
都市ガスが自由化されたことにより、今後更に需要量が伸びることは、ほぼ間違いないかと考えられますが、対するプロパンガスに関しても需要が増えるという分析結果となりました。
家庭用LPガスは減少へ
プロパンガスの需要は家庭用だけではなく、飲食店、工場、自動車、化学原料、そして都市ガスと多岐に渡り使用されています。
この中で化学原料と都市ガスに使用される量が大幅に増加し、需要増加をけん引する見込みですが、反対に家庭用プロパンガスは減少することが見込まれています。都市ガスの自由化と液化天然ガス(LNG)の世界市場の活性化の影響で、都市ガスの普及が従来よりも更に加速すると予測されますので、プロパンガスの家庭での需要は減少するという試算は当然だと考えられます。
家庭・業務用のプロパンガス需要量は2015年度実績が629.7万トンですが、ここから微減が続き2021年度には575.7万トンにまで減少すると分析されています。
プロパンガスは都市ガスの燃料としての用途も
プロパンガスと都市ガスは、そもそもの原料が異なりますし、全く相容れないものと認識されている方が多いかもしれませんが、実は都市ガスを生み出すのにプロパンガスが一役買っているのをご存じでしょうか?
都市ガスの原料となる液化天然ガス(LNG)は、シェールガスの登場で近年、世界市場の勢力図が大きく変わりつつあります。今までは中東アジアを中心としたアラブ諸国が主な輸出国であったのですが、近年ではシェールガスが産出するアメリカ、カナダ、オーストラリアなどの諸国が輸出量を急激に増やしており、今後もこの流れが継続すると見られています。
このシェールガスに由来したLNGから都市ガスを生成する際に、プロパンガスが一役買っているのです。シェールガスは熱量の低い、メタン・エタンで組成されているため、都市ガスを生み出す際の熱量が充分ではありません。この時に熱量を増加させる役割として、プロパンガスが利用されています。
今後シェールガスの輸入量は更に増加すると見込まれているため、それに伴い増熱用のプロパンガスの需要も増加するという仕組みです。
プロパンガスの今後
都市ガスの供給エリアが今後更に拡大していくことが予想されていますが、だからと言ってプロパンガスが無くなるということはないようですね。今回の試算が正しければ、むしろ需要量自体は増えることになっていきます。
皆さん気になるのは家庭用のプロパンガスかと思いますが、こちらは利用者が減少していくのは、ほぼ間違いないでしょう。
ただ、最近ではプロパンガスを扱っている企業が都市ガスや電力事業に参入するなど、多角化する企業が増えています。単純にユーザーが少なくなるから料金が高くなるとは考えにくく、今後プロパンガスの小売り企業がどのような事業展開を行うのかに注目しましょう。