プロパンガス輸入・卸販売の大手ジャパンガスエナジー(JGE)は、7月出荷分から新たな仕切り価格を導入すると発表しました。仕切り価格とは簡単に言うと販売価格のことで、これまでは「サウジアラビアCP」を基準にして決められていました。今回の改定では、従来のサウジCPに加え、アメリカ産プロパンガスの指標である「モントベルビュー」価格を組み込みます。サウジCPとモントベルビュー双方の価格を照らし合わせて、国内での卸価格を決めることになりました。

2016年6月に新パナマ運河が開通したことで、大型LPG船の通航が可能になり、アメリカの大西洋岸から日本国内までの航海日数が大幅に短縮されました。これにより、アメリカからの輸入割合を高めることができると判断したことが今回の改定につながっています。

従来はプロパン・ブタンを中東諸国からの輸入に頼る構図になっていました。その時に指標となるサウジCPは、原油価格の変動に左右される傾向があり、時に過剰に高く設定されてしまうというデメリットを持っていました。
輸入元を中東アジアだけでなく多様化することによって、輸入価格を安定させ、国内でのプロパンガス販売価格も安定させるという狙いがあります。

今後JGEがアメリカからの輸入割合を高めることによって、個々のお宅のプロパンガス料金が安くなるとは言い切れませんが、少なくとも安定化することにはなるでしょう。プロパンガスの場合、不当に高い料金で供給されてしまうお宅があることが問題ですが、お宅に届くまでの輸入価格は安定する傾向にあります。
「原料価格の高騰によって値上げする」ということはよくあると思いますが、その時に「本当に原料価格が高騰しているのか」を確認するようにしましょう。