経済産業省は12月19日、カーボンニュートラルを目指す上で重要なカーボンクレジットの活用について、制度文書の改定を行いました。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量がプラスマイナスゼロの状態を指し、日本政府は2050年にカーボンニュートラル実現を目指しています。
カーボンクレジットは、温室効果ガスの吸収量を増やす効果と排出量を削減する効果をクレジットとして発行したものを指します。
日本国内も様々なカーボンクレジットが取引されていますが、政府でも「J-クレジット」を運営しています。
現状では、J-クレジットを含むカーボンクレジットは、取引するために様々な申請を行う必要があるほか、限られた取引所でのみ扱っているなどの制約があります。中小の企業を含めた団体がカーボンクレジットを扱うためには、対象を広げた上で取引しやすい環境をつくる必要があるでしょう。
政府としては、カーボンクレジットの取引をさらに活性化するため動いており、今回もその施策の一環となります。
今回の改定では、
- 水素・アンモニアの利用による方法論
- バイオ潤滑油の使用による方法論
- 水素燃料電池車の導入による方法論
この3点の方法論が策定されました。
方法論というとわかりづらいかもしれませんが、「J-クレジットの対象となる項目」が加えられたという認識です。つまり温室効果ガス排出量を削減、または吸収量を増加する方法が新たに追加されたことになります。今回の策定は、3つともに排出量を削減する内容です。
今回の改定で、次世代エネルギーとして注目されている水素・アンモニア製造がJ-クレジットの対象となりました。
現在、化石燃料から非化石燃料への転換が進められていますが、その中でも水素・アンモニアは二酸化炭素を排出しない、または排出量が少ない新しい燃料として研究が進められています。
また同じく新たな項目としてバイオマス由来の潤滑油の使用がJ-クレジットの対象に加えられています。
その他、荷物を輸送する段階の温室効果ガスの排出について、方法論が改定されています。こちらは従来の輸送方法から水素燃料電池車での輸送に変更することによる削減量が評価されるように改定されました。
温室効果ガスの「吸収量を増やす効果」は、基本的に森林を維持するまたは増やす行為と同等です。
一方で「排出量を削減する効果」に関しては、最先端の技術研究が世界中で進められています。
このような形で排出量を削減する新しい項目が、今後も増えていくことになるでしょう。またそれと並行して、カーボンクレジットが中小企業や一般の個人にもわかりやすく馴染みやすいものになる取り組みが必要になると考えられます。
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