
引越し先でプロパンガス(LPガス)会社は、自由に選べるのでしょうか?
プロパンガスというサービスの特性上、引越し先物件が「戸建か集合」か、さらに「持ち家か賃貸」によってガス会社を選べるかどうかが決まります。
物件によっては、ガス会社を選べないことも少なくありません。

この記事は次のような人におすすめ!
- これからプロパンガス供給物件へ引越しする方
目次
プロパンガス会社を選べないのはなぜ?
プロパンガスは「容器」と呼ばれる設備から供給されます。多くのお宅ではボンベが利用されますが、集合住宅では一か所にまとめて設置され、そこから各部屋へ送られます。
集合住宅では、物理的な面で一部屋だけ別のガス会社を選ぶことは不可能です。
また戸建新築住宅では、ガス機器や配管工事など、建築時に必要となる初期費用の兼ね合いからガス会社選びが制限されることが多々あります。
戸建賃貸住宅では、オーナーの意向で借主がガス会社を選べないケースがあります。

LPガス会社を自由に選択できるかどうかは、適用される料金と大きく関わりがあるため、できる限り事前に確認しましょう。
集合住宅に引越しする方

マンションやアパートなど一般的な集合住宅では「プロパンガスは一棟ごとの契約」となります。入居者は、ガス会社を選ぶことができません。
プロパンガス供給の集合住宅へ引越しする方は、決められたガス会社に開栓の連絡をしましょう。ガス会社名がわからない方は、管理会社やオーナー・管理組合などに確認しましょう。

例外でメゾネットタイプなど「ボンベが各部屋専用に設置されている物件」では、選べることもあります。詳しくはアマート・マンションのLPガスをご覧ください。
参考:プロパンガスの引っ越し(開栓・閉栓)手続きや注意点を解説|Livika
新築の戸建住宅に引越しする方
新築の戸建住宅では、「一般的には」ガス会社を選ぶことができます。
ただ環境によっては、ガス会社選びが制限されるので注意が必要です。状況次第では、すでにガス会社が指定されているかもしれません。
ただ2024年7月に省令改正があり、消費者とガス会社が長期契約を結ぶことが禁止されました。
参照:新築住宅のLPガス
注文住宅か建売住宅かによっても異なりますが、事前に「ガス会社は選択できるのか」を確認しておくことが大切です。

新築の注文住宅を建築する方は、着工前などできる限り早い段階でご相談ください。建物が完成した後や建売住宅では、ガス会社が指定される物件が多いのが現状です。
中古の戸建住宅を購入した方

持ち家の中古戸建住宅へ引越す方は、自由にガス会社を選ぶことができます。
地域によっては、供給できる事業者数が少なく、選択肢が限られることもあります。また物件の状態、特に供給設備残存の有無などにより、ガス会社選びが制限されることもあります。

その他、中古戸建住宅に入居する際の初期費用や日程に関しては、別ページで詳しく解説しています。参照:中古住宅へ引越す方


ボンベやメーターの残存
中古住宅の注意点として、前の所有者が契約していたガス会社のボンベやメーターが残存している可能性があります。
プロパンガス業界では、転居により解約になったお宅でも、ボンベやメーターをあえて残しておくことが一般的です。
近年では、保安上の観点からボンベを残すことは少なくなっていますが、メーターが設置されているケースは今も多くあります。
どのガス会社のメーターがあるのかによってご案内できる内容が変わります。
例えば残置しているのがA社のメーターであった場合「A社と取引関係にあるガス会社は、その物件には供給できない」可能性があります。
参照:NG会社の解説
お問い合わせいただく前に可能な範囲で「ボンベ又はメーターが残存しているかどうか」、残っていた場合に「どのガス会社のボンベ、メーターなのか」をご確認いただけるとスムーズにご案内ができます。
ご自身で確認が難しい場合には、こちらで現地調査の手配ができますので、その旨をお知らせください。
ボンベやメーターは、ガス会社の所有物です。

一般の手続きでは、新しく契約するガス会社が返却など適切に対処ができます。ご自身で勝手に廃棄するなどの行為はしないようご注意ください。
賃貸の戸建住宅に引越しする方

賃貸の戸建住宅に入居する方は、事前にオーナー又は不動産会社へ「ガス会社を自由に選んで良いか」許諾を得る必要があります。
何らかの理由で所有者がガス会社を指定することは、よくあるケースです。
反対に「入居者が自由にガス会社を選んで構わない」物件も多くあります。
ガス会社が選べるかどうかは、地域などで決まっているのではなく、所有者の意向に左右されます。

戸建ての賃貸物件のガス会社選びには、オーナーの許諾が必須と認識ください。詳しくは別ページで解説しています。参照:賃貸・戸建住宅のLPガス
事業者が指定されている場合、借主はそれに従うしかありません。問い合わせいただく前に賃貸契約書をご確認いただくか、オーナー又は管理会社へとご確認ください。
LPガス会社と契約する際の初期費用と日程
プロパンガス会社と新たに契約する際、契約手数料や工事費などの初期費用は通常かかりません。
ただし中古戸建住宅では、ガス管や機器の老朽化などで費用がかかる建物もあります。
また賃貸住宅に引越しする方は、ガス会社から保証金を求められることが少なくありません。
これは「すでにメーターが設置されているガス会社とは別の事業者」で開栓する際の決まりです。

相談いただく際には、なるべく日程に余裕を持ってお問い合わせください。


プロパンガス物件への引越しQ&A
集合住宅に引越すのですが、プロパンガス会社は選べますか?
集合住宅では、例外を除いてプロパンガス会社は建物で決まっています。入居者はガス会社を選べません。参照:集合住宅のプロパンガス料金
集合住宅では、なぜプロパンガス会社を選べないのですか?
プロパンガスの供給方法に要因があります。集合住宅では、ガスボンベなどの供給設備が一階部分にまとめて設置されます。各戸で異なるガス会社を選ぶことは、物理的に不可能です。
中古の戸建住宅に引越すのですが、プロパンガス会社は選べますか?
戸建住宅に引越す方は、プロパンガス会社を選ぶことができます。例外として賃貸の場合には、オーナーからガス会社が指定されていることがあります。事前にオーナーや管理会社に確認しましょう。参照:賃貸の戸建住宅のプロパンガス
新築の戸建て住宅では、プロパンガス会社は選べますか?
持ち家の新築住宅であれば、ガス会社を選ぶことができます。ただしハウスメーカーと提携しているガス会社を指定されているケースもあります。その場合、他社に変更するには残債を支払わなければなりません。
注文住宅か建売住宅によっても異なりますが、できる限り事前に確認しておくことが望ましいでしょう。参照:新築住宅のプロパンガス
プロパンガス物件への引越し時、初期費用はかかりますか?
既存の住宅への引越しでプロパンガス会社と契約する際、一般的に工事費用や契約手数料のような初期費用はかかりません。
新築住宅では、ガス機器本体の購入・設置、配管施工費が必要です。中古戸建住宅の場合には、設備の老朽化などにより初期費用がかかることがあります。また賃貸住宅では、保証金を求められることがあるでしょう。



この記事は、私が作成しました。
静岡県出身。エネルギー業界に10年以上携わり、特にプロパンガスや都市ガス、電力を専門にしています。またウェブサイトや記事も自身で作成します。ご意見や感想、指摘などありましたら、気軽にお寄せください。⇒著者情報