このページでは、中古の戸建住宅を購入した方に向けたプロパン(LP)ガスの情報を掲載しています。
中古住宅へ引越す場合、一般的には自由にガス会社を選ぶことができます。ただ物件の状態や地域によっては、ガス会社選びが制限されることがあります。
見積りのご相談いただく際には、あらかじめ以下の項目をご確認いただけますと幸いです。
ここでは、主に「持ち家」の中古住宅について解説しています。「賃貸」の一戸建てにお住まい予定の方は、専用ページをご覧ください。⇒賃貸の戸建住宅
残存しているLPガスボンベ・メーターの確認
プロパンガス事業者の多くは、退去により解約になった住宅でもボンベやメーターを撤去せずにそのまま取り付けておきます。
これは次に入居する方との契約を目的としたもので、慣習として現在でも行われています。 「供給設備を残しておけば、次の購入者と契約できる可能性が高まる」ということです。
近年では、保安上の観点からボンベは撤去されることも増えていますが、メーターは多くの物件で残されています。
メーターの有無によりガス会社選びが左右される
LPガス業界では「業務上の取引がある企業から顧客を奪わない」という風習があります。取引先の企業同士では、お客様からの乗り換え依頼を受け付けないのです。
そのため引越し先の住宅に、
- ボンベ・メーターが残存しているかどうか
- 残存していたとして「どの企業のボンベ・メーターなのか」
によって契約するガス会社選びが制限されるのです。
「どのガス会社のメーターが残っているか」によって、紹介できるガス会社並びにご案内できる料金が変わるのです。
参照:NG会社の解説
相談いただく際には、可能な範囲で「メーターの有無」「有りの場合はガス会社名」を確認いただけますと大変幸いです。
※この慣習は、地域や事業者によって対応が異なります。あくまでもプロパンガス業界の通例と認識ください。
※遠方に引越しの方など、設備の有無を確認することが困難な際には、当社で調査を行うことができますのでご相談ください。
残存しているマイコンメーター・ボンベの取り扱い
ボンベやメーターは「供給設備」と呼ばれるものですが、一般的にガス会社の所有物と認識されます。
返却はB社が行ってくれるのですが、「A社がどのガス会社なのか」が重要なのです。
ガス会社名がわからなければ「返却先できない」となってしまいます。
B社としては、後々になってA社名がわかった際に「法律違反だ」「訴える」などのトラブルになる恐れがあるので、A社名がわからなければ下手に廃棄などの処分ができないのです。
※残置している供給設備への対処方法は、ガス会社の方針によって異なります。
メーターやボンベを自身で処分するのはNG?
また役所や廃品処理業者などに問い合わせて「自身で処理できないのか?」と考える方もいらっしゃいますが、これはお勧めできません。
消費者が自ら運搬や廃棄するのは危険であると同時に、法令や地域のルールに抵触する可能性もあるでしょう。
「勝手に残されている」とはいえ、残置されたボンベやメーターの処理は、専門の者に任せることをお勧めいたします。
残置しているメーター・ボンベを消費者自身が取り外して廃棄するのは危険です。
初期費用はかかるのか?「ガス配管や機器の老朽化」
中古の戸建住宅へ引越す場合、通常は初期費用がかかることはありません。
例えば契約手数料など事務手続きは無料なのですが、ガス設備に関しては例外でお金がかかることがあります。
築年数が古い物件や長期間空き家だったお宅では、宅内外のガス設備や配管が老朽化している可能性があります。
ただ交換や修繕が必要になる場合には、持ち家であれば消費者が負担するしかありません。
供給開始時に点検義務がある
プロパンガス会社は、顧客に対する安全義務を負っています。
設備の安全が確保できていないにも関わらず供給してしまうと、事故が発生した際にガス会社側の責任を問われてしまうのです。
参照:供給開始時点検の解説
仮に使用者が「費用をかけたくないし、古いけどそのまま使えるでしょう」と考えたとしても、ガス会社側が危険と判断した際には、供給開始してくれない可能性もあります。
現地調査をしてから見積もりするのが通常
プロパンガス会社は、新たに供給を開始する物件では、現場を確認してから見積もりを提出するのが一般的です。
- ボンベやメーターの残存確認(相手先ガス会社の確認)
- 機器や配管の安全確認(そのまま使えるか、安全が確保できるか)
- 物件へ至る道路などの確認(緊急時対応やボンベ配送・交換を問題なく行うことができるか)
調査では、以上のような事項を確認します。
開栓直前になって「供給できません」「話が違う」とならないよう、料金などを提案する前に物件を見るのが通常の流れです。
ガス会社から供給を断ることもある?
LPガス事業者は、依頼を受けた建物に「必ず供給しなければならない義務」を負っていません。
建物の場所や状態によっては、供給を断ることもあり得るのです。
- 取引先企業のメーターが残っている
- 建物に至るまでの道幅が狭い(配送トラックが通れない)
- 建物の先が行き止まり・一方通行道路など車両の出入りが難しい
- 近隣に自社の顧客がまったくいない(ボンベ交換の手間が大幅に増えてしまう)
- 物件の状態が非常に良くない
参考までに都市ガスや電力は公共サービスなので、相当な理由がなければ「その物件に供給する義務」を負っています。
引越し先の現地調査は、日程に余裕があれば当社が無料で承っています。開栓希望日の2~3週間前にはご相談をいただけますと、余裕をもって調査することができます。
初期費用を無料にする設備投資や分割払いはできる?
仮に設備の老朽化などで初期工事や機器の新調が必要になった際、以前は「お客様の費用負担を0円にする代わりに長期契約を結ぶ」という提案ができました。
ただ2024年7月に省令改正があり、現在は初期費用を無料にする設備貸与が難しくなっています。
省令改正の中で「LPガス事業者の変更を制限するような条件を付けること」が問題となり得るとしています。つまり「ガス会社と消費者が違約金設定ありの長期契約を結ぶことが難しくなった」のです。
「給湯器が壊れている」など初期費用が必要になった場合、持ち家であれば自身で負担するしかありません。
ガス会社の中には、「消費者との認識が一致しているのであれば、投資や違約金ありの契約を結ぶ方針」の企業もあります。
具体的には次項で記載しています。
経済産業省から発布された改正ガイドラインPDFはこちら。※長期契約関連の記載は5ページ目です。⇒改正ガイドラインを見る
「リースやレンタル」初期費用を安く抑える方法
持ち家である限り、機器がそのまま使えなければ自身で解決しなければなりません。
ただ建物を購入した上、さらなる出費は抑えたい方もいらっしゃるでしょう。
上記した通り、ガス会社から設備投資を受けることは難しくなりました。ただ初期費用額を抑える方法がなくなったかというと、必ずしもそうとは限りません。
例えば給湯器などのガス機器をリースで購入する方法があります。
リース契約は、制約期間がある上に途中解約すれば残額を払わなければなりません。
契約期間は、金額にもよりますが5~10年程度が一般的。支払う金額は、毎月1000~3000円程度になることが多いでしょう。
参照(外部サイト):リース契約とは?三井住友銀行
つまりA社とリース契約中だとしても、ガスの供給はA社からB社に無料で変更できます。
この方法であれば法令に抵触することなく、初期費用を安く抑えることができます。当社でも「リース契約をしたい」というご要望を承っています。
ガス会社によっては、レンタル契約を扱っているかもしれません。どのような提案ができるのかは、事業者によって異なります。
必ずしも初期費用を安く抑える提案が全くできなくなったのではありません。
「法令解釈は各社さまざま」設備投資できる企業も
法律の条文やガイドラインは通常、含みを持たせた表現をします。
一般的には「設備投資は禁止」「長期契約を結ぶことは禁止」と解釈できるのですが、「正当な理由があれば可能」とも認識できます。
法令内容をどのように解釈するのか、つまり「どの程度のサービスができるのか」については、各ガス会社の判断により分かれます。
実際に一部では、「顧客が納得しているのであれば、設備投資する」という方針のガス会社もあります。
- 設備投資した分、ガス料金に上乗せされること
- 長期契約を結ぶこと
つまり「顧客がしっかりと内容を理解しているのであれば、設備投資する正当な理由として成り立つ」と解釈しているのです。
前項に記載したリースやレンタル契約も含めて、「初期費用を抑えたい」という要望がありましたらご相談ください。
開栓までの日程「余裕を持ってご相談ください」
LPガスを供給するためには、ボンベ・マイコンメーターなどの供給設備を準備しなければなりません。
例えば都市ガスのように「ガス栓を開けて点検するだけ」とはいかないのです。電気はさらに簡単で、立ち合い無しで使用開始できますが、プロパンガスはそうはいきません。
供給設備の準備と同時に、中古住宅では「問題なくガスを供給できるのか?」物件の確認が重要です。
一般的に「今日・明日から使い始めたい」というご要望を受けるのは、難しいと考えられます。
また売主の方が契約していたガス会社のメーター(供給設備)が残っている場合には、適用される法律があり開栓までの日にちが制限されます。
メーターが残っている場合には7日間空ける義務
LPガス事業者を変更する際には、「7日間の日にちを空けること」が法律により義務付けられています。
「空き家であったとしても、供給設備が設置されていれば、7日間の日にちを空けて切り替えなければならない」のです。
参照:一週間ルールの解説
ボンベやメーターが残っていない状態であれば、「明日・明後日から使用したい」という要望もお受けできるかもしれません。
しかし「A社のボンベがある状態だけど、明日からB社のガスを使用したい」ということは、難しくなってしまいます。
さらに申込書のやり取りや物件確認など、手続きには日数が必要です。
相談いただく際には、できる限り日程に余裕をもってご連絡ください。目安としては、開栓希望日の2週間以上前にお問い合わせいただけますと幸いです。
中古住宅で適用されるLPガス料金
中古の戸建住宅に適用されるプロパンガス料金は、いくらなのでしょうか?
前提としてLPガスは、自由料金制で個別で見積もりするサービスです。地域によって相場があり、さらに実際に適用される金額は、その物件により個々で決められるのです。
建物の環境によって供給を断るかもしれないと上述しましたが、料金も同じようにいくらで提案するのかを個別で判断します。
当社が対応できるエリア一覧はこちらです。各自治体のページに平均価格や最安値など、具体的な金額を掲載しています。
⇒対応エリア一覧
プロパンガス料金の仕組みや具体的な金額を知りたい方は、料金解説のページをご覧ください。参照:LPガス料金を徹底解説
ガス料金の見積もり・現地調査依頼する
ガス料金の見積もり依頼は、当社で承っています。
また建物の外観調査もお受けしています。現地の提携先ガス会社が現地調査できますので、遠方へ引越しの方も遠慮なくお申し付けください。
物件調査からガス会社のご紹介まで、手続きはすべて無料です。
「できるだけ安くガスを使いたい」とお考えの方は、ご自身でガス会社を探すよりも簡単でお得に開栓手続きができます。
これから中古住宅へ引越しする方は、気軽にお問い合わせください。
中古住宅のプロパンガスQ&A
中古戸建住宅に引越す際、プロパンガスの開栓手続きはどのように行いますか?
プロパンガスの開栓は、ガス会社に連絡し開栓を依頼する必要があります。ガス会社がお決まりでない方は、相談を承っています。⇒問い合わせ
開栓作業時には、立会が必要ですか?
プロパンガス開栓時には、安全点検が義務付けられているので立会が必要です。ガス会社の担当者と日程を合わせて、ご都合の良い日時に開栓作業を行います。参照:供給開始時点検
プロパンガスの開栓に初期費用はかかりますか?
一般的に開栓作業には費用がかかりません。ただ中古住宅の場合、ガス機器や配管の老朽化などで初期費用が発生することがあります。通常は、事前に現地調査を行い、設備がそのまま使えるかを確認した上で手続きを進めます。
中古住宅ではプロパンガス会社を選ぶことができますか?
持ち家の中古住宅では、ガス会社を選べることがほとんどです。ただ、前所有者から契約を引き継いでいるなど、一部の物件ではガス会社が固定されている場合がありますので、事前に確認が必要です。
プロパンガスのメーターやボンベが残っているのですが、そのまま使えますか?
メーターの期限切れなどが良くありますので、状況により異なります。またメーターやボンベは、ガス会社の所有物として扱われるので、他社を選ぶ際には返却する必要があります。
残存しているメーターやボンベを自分で処分することはできますか?
メーターやボンベは、ガス会社が用意した供給設備です。消費者が勝手に処分することはお勧めできません。またボンベは危険物として扱われるので、自身で処分するのは困難です。新しく契約を結ぶガス会社に対処を任せるのが最適です。
契約を結ぶガス会社がメーターやボンベの処理をしてくれるのですか?
はい、新たに契約を結ぶガス会社が、返却など適切な対処を行います。
給湯器などがそのまま使えない場合、初期費用が必要になるのですか?
持ち家の場合には、自身で費用負担する必要があります。費用負担を避けたい方は、リース契約を取り扱っているガス会社と契約を結ぶことで初期費用を抑えることができます。
これから戸建の注文住宅に引越すのですが、いつ頃相談すれば良いですか?
できる限り日程に余裕を持ってご相談ください。具体的には、2週間以上空いていれば、現地調査後に正確な見積もりを提出し、余裕を持った手続きが可能です。
この記事は、私が作成しました。
静岡県出身。エネルギー業界に10年以上携わり、特にプロパンガスや都市ガス、電力を専門にしています。またウェブサイトや記事も自身で作成します。ご意見や感想、指摘などありましたら、気軽にお寄せください。⇒著者情報