ニチガス事業説明会 2022年11月
ニチガス 柏谷社長 https://www.irwebmeeting.com/nichigas/vod/20221129/s7hraf32/bsm_01_ja/index.html

ニチガスは11月29日、東京都内で事業説明会を開催し、柏谷社長や吉田専務執行役員らが出席しました。

LPガス充てん工場「夢の絆・川崎」(神奈川県川崎市川崎区)を軸に配送効率化を進め、スマートホーム向けのハイブリッド給湯器や家庭用蓄電池などの販売を強化する方針を示しています。

柏谷社長は、関東のLPガス市場では、卸売企業約200社が474か所の小規模な充てん所を保有し、需要家610万件に対応していると説明。現状では、充てん所の重複が多いと述べ「最大200万件の供給能力を持つ夢の絆と同規模の充てん工場が3~4か所あれば、関東のLPガス市場全体をカバーできる」と話しました。

また夢の絆の位置づけについて「自社小売りの成長のためだけでなく、同業他社にも利用してもらえるよう、LPガス託送という概念で物流のインフラを構築してきた」と説明。従来1本ずつ交換していた需要家宅のLPガス容器をスマートメーターによる残量管理で2本同時に交換するなどで、配送コストを他社の約半分にしていると述べました。

既に37社が夢の絆を見学しており、同業他社の利用を増やすことで、さらに配送合理化を進める考えです。

ニチガスは、太陽光発電、蓄電池、ハイブリッド給湯器、電気自動車などを備えるスマートホームの市場拡大を商機と見ています。

吉田専務執行役員は「太陽光発電、蓄電池などスマートホーム向けの機器販売は想像以上の手ごたえが出ている」とし、中でもハイブリッド給湯器の販売台数は、2020年4~6月期の32台から2022年7~9月期には229台と7倍に増加したと報告しました。近々、配電事業にも参入し、スマートホームへの電力供給やエネルギーマネジメントも手掛けていく方針。2024年度には、約9万件のコミュニティーガス需要家にも、太陽光発電や蓄電池などの設備を販売する方針です。

柏谷社長の話す「夢の絆と同規模の充てん工場が3~4か所あれば、関東のLPガス市場全体をカバーできる」という内容は、LPガスのボンベ配送に関する理想の形だと言えるでしょう。

実際に3、4か所の大規模充てん所を拠点として、ボンベの充てん・配送が行われるようになれば、運搬に関するコストが大幅に削減されると考えられます。それに伴い、LPガスの小売料金も下落することになるはずです。

ただLPガスは、事業者間のつながりが強い業界です。現在でもNG会社の風習が残っているように、「ライバルと味方」がはっきりと区別されており、完全に自由な競争が行われているとは言えない状況なのです。

現在は、協力(味方)関係にある企業の工場まで行き、充てん作業を行っているという状況です。ライバル関係にある企業の充てん所を使用することはありません。そのため、小規模な充てん所が多数点在するような状態となっているのです。

このような状況で、充てん所を3、4か所だけにまとめるということは、極めて難しいことです。現状では、例えばニチガスのライバル会社であれば、「ニチガスの充てん所は利用しない」ということになってしまうのです。もしもニチガスの充てん所を利用したいのであれば、「ニチガスの顧客は奪わない」というような条件が付いてきてしまうのが現在のLPガス業界です。

充てん所を大規模なものにまとめるためには、敵味方の垣根を越えて「充てんの部分では」協力し合うか、または中立な立場を保つ専用の会社を設立するのどちらかになるでしょう。

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