プロパンガス料金は通常、「基本料金」と「従量料金」によって構成されています。
つまり基本料金は、ガスを使っても使わなくても払わなければならないのです。
このページでは、プロパンガスの基本料金について解説します。
ここで記載している基本料金の額は、すべて消費税抜きで表記しています。
目次
基本料金0円のプランはないのか?
プロパンガス会社と供給契約を結ぶと、例外を除いて基本料金は必ずかかります。
都市ガスとプロパンガス共通してガス(火)を取り扱いますので、電気と比べると事故が発生する可能性が高いという特徴があります。
もしもガスを使用していないお宅であったとしても、ガス会社側はその顧客に対して保安義務を負っています。ボンベ配送はもちろん、定期点検や緊急時対応などをしなければなりません。
プロパンガスの基本料金が0円のサービスは、将来的にも登場することはないと考えられるでしょう。
基本料金の相場はいくら?
プロパンガスは自由料金制ですので、法令に縛られることなく各社が自由に決めることができます。参照:プロパンガス料金表
基本料金額をいくらで設定するのかも同様に、ガス会社が自由に決めています。
基本料金がこの範囲内であれば、相場通りの金額と捉えて良いでしょう。
一部の事業者では、基本料金1000円や1200円など安いプランを用意していることもありますが、数は多くありません。
逆に2000円を超える基本料金を徴収している企業もあります。2000円を超えてしまうと、基本料金の額としては高いと考えられるでしょう。
- 参照(外部サイト):エネアーク関西の料金プラン(LPガス)
- 参照(外部サイト):東京ガスの料金体系(都市ガス)
そのような場合には、基本料金は日割り計算されて請求されるのが一般的です。
ただし、プロパンガス料金はガス会社が自由に決められます。ガス会社は「絶対に日割り計算しなければならない」決まりはありません。
事業者によっては、日割り計算はしないこともあり得るので注意が必要です。
基本料金の平均値(当社調べ)
- 戸建住宅:1684円
- 集合住宅:2093円
当社へご相談いただいたお客様と、アンケート結果の基本料金を統計した平均値です。都道府県などで分けていませんので、参考としてご覧ください。
ただ単価は、比較的頻繁に値上げされるのに対し、基本料金の値上げは頻繁に実施されることではありません。
賃貸アパートでは基本料金の相場が高い
賃貸アパートなど小型の集合住宅では、基本料金が高めに設定される傾向にあります。
これは1㎥あたりの単価も同様です。
一般的にアパートでは基本料金が高く、2500円前後で設定される物件も少なくありません。ガス会社によっては、「アパートの基本料金は2500円」と決めていることもあります。
参照:一人暮らしのプロパンガス料金
- 集合住宅のプロパンガス料金は、相場自体が高い
- アパートの入居者は、ガス会社を変えることができない
- 一人暮らしの方は、ガス代の滞納の確率が高い
- オーナーに対して設備投資をしている物件がある
同じ集合住宅でも分譲マンションなどファミリー用の集合住宅では、信頼性が上がるため基本料金や単価が逆に安いこともあります。⇒大型集合住宅のプロパンガス料金
例外で基本料金0円のことも
例外として、基本料金が0円にされることもあります。
主に業務用でガス使用量が非常に多い顧客に適用されることがあります。基本料金ゼロにしても使用量が多いので、ガス会社としてはメリットがあるのです。
またそのガス会社にとって「重要な顧客」には、基本料金を免除している事業者もあります。
例えば集合物件のオーナーで、自宅と持ち物件の双方を同じガス会社が供給している場合などが該当します。
プロパンガスは自由料金制ですので、特別割引が適用されることもあるのです。
基本料金は何に使われるのか?
一般家庭でプロパンガスを利用する場合には、「基本料金は絶対にかかる」と認識していただいて間違いありません。
冒頭で記載した通り、基本料金は「ガスの使用」以外のサービスに対して求められる費用です。通常、検針票や利用明細などに「基本料金が何に使用されているのか」内訳は書いていないと思います。
もしも基本料金の内訳を正確に知りたい方は、契約中のガス会社へ問い合わせましょう。
代表的なものとしては、以下のようなサービスを提供するために基本料金を求めていると考えられます。
ボンベ交換
大型マンションなどでは、バルクと呼ばれる大きなタンクが使用されることがありますが、こちらは交換するのではなく補充することになりますが、手間がかかるという点では同様です。
緊急時対応
プロパンガス会社は、供給契約を締結した顧客の安全に対する義務を担っています。
顧客宅でガスに関するトラブルが発生した際には、指定された時間以内に駆け付けなければならないのです。
点検
プロパンガス会社は、供給開始時やボンベ交換時、さらに4年に一度など決められた期間内に定期点検を行う義務があります。
集中監視システム・電話応対・アプリの使用など
例えば電話応対のサービスは、ガスを使用しているかどうかは関係なく利用することができます。
また近年普及しているアプリでの管理も同様です。アプリにログインして利用料金などを確認するサービスは、すべての顧客が平等に使用することができます。
その他にも一部の事業者では、集中監視システムと呼ばれる遠隔操作できる仕組みを導入して顧客の安全管理を行っています。
プロパンガスの基本料金は、このようにガスを使用していなくても利用できる顧客サービスに対して払う料金と考えられます。
基本料金を安くできるのか
基本料金を安くすることは、不可能ではありません。
基本料金を安くするのは、従量単価(1立方メートルあたりの単価)を安くするのと同じ意味です。
他社の金額と比較して高い場合には、以下のような手段で安くできるかもしれません。
- ガス会社を変更する
- 契約中のガス会社と交渉する
集合住宅ではガス会社の変更ができないので、交渉するかオーナーや管理会社に相談しましょう。
戸建住宅にお住まいの方であれば、事業者の変更で基本料金・単価ともに安くしたいというご相談を承っています。
基本料金が違うことに意味はあるのか
基本料金の額は、同じガス会社であっても各戸で異なります。これは単価に関しても同様です。
基本料金の金額が高くても安くても、サービス内容は同じなのです。
※すべての事業者に当てはまるとは断言できませんが、通常は「基本料金が高いお宅だから〇〇をする」のようなサービスの使い分けはしていないでしょう。
この辺りがプロパンガス料金が不透明と言われる原因になっているのですが、特別な理由がないにもかかわらず金額が違う可能性があります。
比べてみて基本料金が高いお宅に関しては、上述したような方法で安くすることを検討しましょう。
基本料金のアンケート
・戸建住宅にお住まいの方
・集合住宅にお住まいの方
基本料金が不要な使用方法
プロパンガスを基本料金がかからない形で使う例外的な手段として、重量売りがあります。
これは移動販売車や催事場での屋台などで利用される方法で、ボンベを自身で用意して中身がなくなったら自身で補充しに行くという形になります。
この場合には、ガス会社と供給契約を結ばないため、基本料金はかかりません。
どうしても基本料金を払いたくない方は、この方法を検討しても良いかもしれません。ただ集合住宅ではこの使用方法は不可能なほか、使用量が多いお宅においても現実的ではないでしょう。
また重量売りは、事故の際に事業者側も責任を問われてしまう可能性があるため、多くのガス会社では取り扱っていないので注意が必要です。
さらに上述した安全に関するサービスを受けられないので、安全管理が自己責任になってしまいます。
プロパンガス基本料金についてのQ&A
プロパンガスの基本料金とは何ですか?
プロパンガスの基本料金は、ガスの使用量に関わらず毎月固定で支払う料金です。ガス供給に必要な設備費用や保安業務、点検調査などの諸経費が含まれています。
基本料金が0円のプロパンガス会社はありますか?
一般的にプロパンガス会社と契約する際には、基本料金が設定されます。ただプロパンガスは自由料金制なので、絶対にないのではありません。これまでの経験では、基本料金が0円に設定されているお宅もありました。
基本料金の相場はいくらですか?
基本料金の額は、地域よりもガス会社の方針とお客様の環境によって異なります。安くて1000~1500円、高いと2000~2500円程度が一般的です。(金額は税抜き)戸建住宅よりも集合住宅の方が高く設定される傾向にあります。
集合住宅の基本料金は、なぜ高いのですか?
一般的に集合住宅の顧客の方が料金滞納などのトラブルが起こる確率が高くなります。ガス会社としては、アパートなど小型集合住宅の基本料金を高めに設定せざるを得ない状況があると考えられます。
基本料金を安くする方法はありますか?
基本料金を安くするには「契約中のガス会社と交渉する」「ガス会社を変更する」どちらかの方法があります。
プロパンガスと都市ガスの基本料金に違いはありますか?
プロパンガスの基本料金は、都市ガスに比べて高めです。これは、プロパンガスの供給方法や設備の違いが影響しています。都市ガスはガス使用量に応じて段階性になっていることが多いですが、第一段階で1000円以下で設定されることもあります。参照:東京ガス料金
この記事は、私が作成しました。
静岡県出身。エネルギー業界に10年以上携わり、特にプロパンガスや都市ガス、電力を専門にしています。またウェブサイトや記事も自身で作成します。ご意見や感想、指摘などありましたら、気軽にお寄せください。⇒著者情報